Sonus faber　（ソナス・ファベール）と言うイタリアのSpeakerについて

Sonus faber
Electa Amator


今回はカメラでもレンズでもない趣味のお話
イタリアからは時々とてつもない名品が生まれてくる。Sonus faber 　（ソナス・ファベール）Electa Amatorは　まさにその名前の通り、北イタリアの町、ヴィツェンツァにある 小さな（音の工房）から生まれでたSPEAKER　SYSTEMの名品である。 実はElecta Amatorと名づけられたこの美しいSPEAKER　SYSTEMは以前から非常に気になる存在であったのだが、 最近製造中止に成ってしまい、躊躇していると、絶対に手に入らなくなってしまいそうなので、 問い合わせると、幸いまだ在庫がストックされていると言う、、、 意を決して購入するに至った。その仕上げの外観は精緻な ソリッド・ウォルナットの箱組みと、リアルレザーを張り合わせたフロントバッフルを持ち、 それこそ芸術品の仕上がりである。

このシステムが発表されるまでのスピーカーシステムは単なる野暮な音箱でしかなかったのだが、 ソナス・ファベールはその常識を完全に覆し、音響工学に美しい仕上がりの精密な木工技術を組み入れた事で、 それ以後のシステム設計思想に影響を与えた製品なのである。 もう一つこの製品は別売の、これもまたとても美しいウォルナットと大理石で組み合わされたスピーカー・スタンドを セットであしらえてやる事で、完全な性能を発揮する仕組みになっており、 そこでも痛い出費を強いられることに成っている---（^^;ゞ。 このスタンドとスピーカーシステムはボルトで連結されるようになっており、完全に一体化するのである。 付属してくる六角レンチを使い高さを調整することが出来るようになっている。 実はリスナーの耳の高さと指向性の有る高域ユニットの位置を揃えることは非常に大切な音響条件の一つであるのだ、 この美しいスピーカー・スタンドは、高域の減衰を考慮した最適のリスニングポイントを作り出すことが出来る。
ユニット構成は２ウェイ２スピーカーシステム（パッシブ・ラジエター付き）・ 中低域：１８０ｍｍカーボニウムペーパー・コーン型・ 高域：２０ｍｍシルク・ドーム型・ 外形寸法：２２５Ｗ×３８０Ｈ×３９０Ｄｍｍ・ と言う比較的小ぶりなシステム構成であるが、その構成からは想像もつかない豊かな中低域の広がりを持っている。 これは全く時代遅れの贅沢設計思想が齎してくれる、音の恵みである。 時代遅れと書いたのは、サランネットを取り外して。 そのメインドライバーである１８０ｍｍカーボニウムペーパー・コーンを見れば一目瞭然である。 まさに手作業の極みと想像できるような、無骨な斜面を持ったコーン紙が見て取れる。 現代の主流になったプレスコーンや、剛性の有るカーボンと違い分厚く、 内部留保の高そうな自然乾燥に近いノンプレスペーパーコーンである。 これは本物のユニットだ！この重いコーン紙をドライブする為に、 さぞや巨大で強力なマグネットを背負っているに違いない。 そして十分なゴム成分を含んだエッジの質感は柔らかく 耳たぶのような質感を保っているのだが、それで居てしっとりしっかりとコーンを支えている。

さて、その音質であるが完全に配置を調整し終えると、 必要にして十分な中低域の量感を基礎とした、艶やかな温かみの有るボーカルが 目の前に浮かび上がる、まるで口の大きさが分かるかのようだ。 決して生々しくリアルではないのだが、そこに音楽的なアコーステックな成分が含まれるのは、私にとって好ましい傾向である。 シルクドームの音色も決してヒステリックには成らず安心してボリーュームを開けてやることが可能だ。　 数枚のお気に入りを聞き終えた後、ああ！このシステムは、単なる箱ではなくて、楽器に近い物なのだと言う少々驚きに近い感想が残っている。 今はバイワイヤリングで繋いでいるが、バイアンプで鳴らしてやると、さらに表情が変わっていくのであろう、、、 同じくイタリアのブラ（BRA)という片田舎からスタートしたN.P.O.(Non-Profit Operation)運動 『スローフード宣言』 にも似た文化を大切にする思想をこのSPEAKER　SYSTEMからも感じ取ることが出来る。、、、 これからの人生にもう一つの楽しみが増えたような嬉しい気持ちである。